マリーのお菓子組曲 Marie's Sweets Suite


〜 第3楽章 The 3rd Movement

【 不思議な王冠 】

音楽を再生させてそれを聞きながら物語をお楽しみください。
物語をお楽しみいただいた後は、物語にリンクしたお菓子のレシピで素敵な時間をお楽しみください。

【音楽】

♪ 魔法の王冠 The Miracle Crown

作曲/山谷 知明

 

 

アナスタシア湖をあとにして、マリーは森をさらに進んで行きました。
道がでこぼこしていて、両手で大切に持っているお皿の上の苺ケーキが時折危なくなります。

「ティアレ姫は、このわたしの苺ケーキを見て、何て言うかしら。」

マリーは少し不安な気持ちになってきました。

あたりは真っ暗な深い森です。
少し先の大きな樹の根元で何かが白く光りました。

近づいてみると、それは、どこのお城の王様が落としていったのか、銀色のきれいな飾りのついた王冠だったのです。

「これはもしかしたら、ティアレ姫のパパのものじゃないかしら。」

マリーは苺ケーキのお皿を、大樹の根っこの固くテーブルみたいになったところにそっと置いて、その不思議な王冠を手にとりました。

 

 

「これがティアレ姫のパパのものかどうか、調べる方法があるわ。」

そうつぶやいてマリーは、大樹の葉っぱを一枚摘み、その葉っぱの上に王冠を翳してみました。

するとどうでしょう。
みるみるうちに木の葉は、キラキラのお砂糖で散りばめられたパイ菓子に変わったのです。

次にマリーは足元に転がっていた小石の上にその不思議な王冠を翳してみました。

たちまち小石はきれいなチョコレートボンボンに変わったのです。

「やっぱりこれは、プリンセス・ティアレのパパの王冠だわ。」

どんなものでもおいしくてきれいなかたちのお菓子に早変わりさせてしまう魔法の王冠。
これさえあれば、誰だって素晴らしいお菓子職人になれるでしょう。

マリーは、自分の苺ケーキをじっと見つめました。

「この王冠の力を借りれば・・・」

しかし少し考えてから首を横に振って、

「このままでいいわ。わたしはわたしの作ったケーキをティアレ姫に見てほしいんだもの。」

マリーは、王冠を右腕に通して抱え、左手には苺ケーキのお皿を乗せて、また歩き出しました。

 

 


【お菓子】 ★カヌレの冠
 The Sweet Crown

 

 
必要なもの
カヌレ型14個分
 

牛乳330cc

 

 
バター17g
 
 
2分の1個
 
 
卵黄2個
 
 
薄力粉75g
 
 
グラニュー糖165g
 
 
ラム酒35cc
 
 
バニラオイル少々
 
 
蜜ろう約100g
 
 
 

 

 
 
@



牛乳とバターをなべに入れて火にかけ、沸騰させてから75℃まで冷ます。たまごと卵黄を解きほぐしてなべで沸かしたものの3分の1を少しずつ加えながら泡立て器で混ぜる。



A



ふるっておいた薄力粉とグラニュー糖をボールに入れ、泡立て器で均一に混ぜ合わせる。
B

 
@をAのボールに一度に加え、勢いよく練り混ぜる。@の牛乳の残り3分の2を加えて混ぜ合わせる。ラム酒とバニラエッセンスを加え混ぜる。
C


裏ごしして、ダマを取り除き、ラップをして冷蔵庫で一晩ねかせる。

 
 
 
D







型を180〜200℃のオーブンに数分入れて温める。蜜ろうをなべに入れ強火にかけて溶かす。
蜜ろうをあたたかい型に流し入れる。他の型に蜜ろうを移し、ケーキクーラーにふせる。これを全部の型に行う。ふせたまま1分くらいオーブンに入れ、蜜ろうを落とす。クーラーごとオーブンから出し、そのまま冷蔵庫で冷やす。



 
 
 
E



生地を底からよくかき混ぜてから型の9分目まで注ぎ入れる。オーブンは250〜300℃に設定しておき、生地を入れてから250℃に落として役35分焼く。

 
 
 
F



型から出してみて、きれいなこげ色ができているようならオーブンから出して型ごと冷ます。冷めたら、型を軽く振ってはずす。型は蜜ろう洗い落とさずに保存して次回そのまま使用する。




これはマリーがお話の中で作ったお菓子です。なので多少の不手際はお許しくださいね。